IPS細胞だけじゃない!
幹細胞研究 最前線。
IPS細胞だけじゃない!
幹細胞研究 最前線。
演題
『 人体再生能力の
起源を探る!』
話し手: 馬渕 洋
( 東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科 幹細胞研究者)
第6回のテーマは再生医療。
幹細胞研究者の馬渕さんに、最新の幹研究内容についてお話し頂きました。
「幹細胞」ってなに?
幹細胞とは、「自分と同じ細胞をつくり出す能力」と「2種類以上の細胞をつくり出す能力」を併せ持った細胞のこと。体の色々な細胞の元となる存在です。
今回の主役「間葉系幹細胞」
間葉系幹細胞は、骨や脂肪、血管、心臓などの細胞の元となる幹細胞(右下図)。自分自身の数を保ちつつ、これらの細胞をつくり出しています。造血幹細胞(血球等をつくる幹細胞)と同じく骨髄に存在しているそうです。また、間葉系幹細胞は造血系幹細胞を補助する役割もあるらしく、体の中でとても重要な幹細胞のひとつとされているそうです。
再生医療に向けての課題
自分の間葉系幹細胞を使って臓器等を作り、それを移植すればれれば拒絶反応は起きません。しかし、間葉系幹細胞のみを分離する技術は確立しておらず、詳しく研究することが出来ていませんでした。
話し手の馬渕さん。
とても気さくな方で、終止楽しい雰囲気で進行しました。
※今回は公開可能なアンケートコメントはありませんでした。
間葉系幹細胞の顕微鏡写真。
シャーレの底面にへばり付いています。
間葉系幹細胞の分離に使用した機械(「MoFlo」と言うそうです)。分離が正確なだけでなく、その速度も凄い。なんと1秒間に1万個の細胞を仕分けすることが出来るそうです。お値段は一式約8000万円!
8月の「STEM CELL REPORTS」紙に掲載予定!
骨髄に含まれる2種類の幹細胞。
間葉系細胞の分離に成功!
馬渕さんは、細胞の表面にあるタンパク質に着目し、間葉系幹細胞を見分けるのに必要な2つのタンパク質を特定することに成功しました。
このタンパク質を目印に、特殊な機械(上図)を使って骨髄の細胞をふるいにかけたところ、2つのタンパク質を持つ細胞を全細胞の0.03%から得ることができたそうです(左図)。
今回お話し頂いた研究成果を記した論文は、なんと学術誌にアクセプト(受理)されたばかりで、6/22の時点で未公開だとか(左図)。馬渕さん、会場の方にしっかり口止めしていました。
世界に先駆けて、最新の研究のお話を、お酒を飲みながら楽しく聞く。・・・なんて贅沢な!
馬渕さん、ありがとうございました!
Mofloによって仕分けした細胞のチャート図。自主規制中。
サイエンスマリアージュ、楽しませてもらいました!学会とはまた違った、例えるなら1つのショーを公演しているような感覚でした。発表にあたり、自分が研究者になったきっかけや研究をしながら考えていたこと、自分の将来やりたいことなど、「研究者馬渕」を俯瞰的に観察する作業も面白かったです。実験に追われている日常ではそんな機会はほとんどないので、良い経験になりました。また、一般人がこんなにも研究に興味を持ってくれていると知って嬉しかったし、またいろいろ知識を学んで勉強していることに驚きました。研究者としての誇りや使命感を得ることができた気がします。オーガニックワインを飲みながら、美味しい食事とサイエンス。結構マリアージュしてますね、野村代表!また是非観客側でも参加させていただきまーす!
第8回
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